えっちゃん

21グラムのえっちゃんのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
3.0
再見 2018/06/10 amazon プライムビデオにて
1907年に医学雑誌に発表されたと言われる、ダンカン・マクドゥーガル医師の魂の重量計測実験。
人は死に際して、呼気による水分の蒸発以外の何かの重量を消失するという結果で、たまたま一人目の測量結果が3/4ozだったことから、魂の重さは21グラムである、という説が広まったとされています。
(今の医学の力をもってしたらまた違った結果となるかもしれませんが、それは割愛します)
そういう通説を元にした『21グラム』。
あるひき逃げ事故によって登場人物たちの人生の歯車が大きく動き始めます。
ひき逃げ事故を起こしてしまった人、ひき逃げによって子供と夫を喪い遺されてしまった家族、そしてその犠牲者から心臓の提供を受けて生き延びられた心臓病患者。
彼らが抱える事情も、思いも三者三様ですが、ひき逃げ事故が起こっても、それでも"life goes on"(人生は続いて行く)。
本当の意味で赦されることとは、という宗教的な側面もありながら、神は必ずしも我々を救ってくださるとは限らない、という突き放したような側面も見せつつ、しかしそれでも人生は続いて行くのだということが繰り返される"life goes on"によって示唆され続ける。
重厚で複雑なテーマでありながら、淡々としたトーンで語るあたりがイニャリトゥっぽく感じました。
ラストシーンまで、"life goes on"っぽい感じなのはとても良かった。