久しぶりにこういう人の業を描いた作品を観た。少し前に観たドゥニ・ヴィルヌーヴ作品『静かなる叫び』のような。人生を奪われた者、奪った者、そして何度も台詞として出てくる”続いていく人生”を一つの事故によって交差した3人の男女の物語を哀しくも力強く描く。とても哀しいけれど、わたしはこういう作品がとても好きだ。目を背けたくなるような現実に、人は向き合わなくてはいけないのか?それは神への義務なのだろうか?わたしは、違うと思う。
どれだけもがいても抗っても人は大きな流れにただただ流されていくだけなのだろう。そこで溺れてしまうのか、向こう岸に辿り着けるのかは、どこまでも自分が決めることだと思うのだ。
言うまでもなくショーン・ペンもナオミ・ワッツもベニチオ・デル・トロも皆素晴らしい名演ぶり。個人的には大好きなシャルロット・ゲンズブールが出演していたのも嬉しいポイントであった。強気で、何もかもを完璧に手に入れたいけど常にどこか孤独に囚われている、それは他の3人も同じだけど彼女もとても巧く演じていたと思う。あと特筆すべきは、時系列がごっちゃになっている作品は判りにくいと言われがちだがこの映画に関してはそれが全く逆で、よりこの物語に共鳴しより深く思案できる手助けになっていると感じられた。