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BULLY ブリーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

BULLY ブリー(2002年製作の映画)
4.1
1993年に実際に起こった10代の少年少女による殺人事件を映画化した問題作。長年いじめられ続けた主人公の少年が、恋人とともに衝動的にいじめっ子の殺害を計画、周囲の仲間も巻き込み実際に行動に及ぶまでをリアルに淡々と描く。原作はジム・シュッツのルポルタージュ『なぜ、いじめっ子は殺されたのか?』。主演は「ゴールデンボーイ」「ゴーストワールド」のブラッド・レンフロー。
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このスコア高めだけど完全に自分の好み。終始、救いが無いし大して面白くもないけどラリー・クラークの作品やっぱ好き。
他の人が観たら、低俗で物語性のない映画にしか視えないかもしれない。実際そうなんだけど笑笑。

「KIDS」では90年代のニューヨークだったのに対して、本作の舞台は南フロリダ。
舞台が変わってもラリー・クラークが接近して撮る被写体は変わらず少年少女。
アルコール、ドラッグ、サーフィン、セックス、ドライブ。
学校にも行かず、働く事もせず、ただ目的もなく享楽的な日常を暮らしている少年達。
彼等彼女達の家は貧困白人層(ホワイト・トラッシュ)。
(後に作られた「フロリダプロジェクト」の主人公、売春するシングルマザーの前日譚にしか思えなくなる程近しい)

ラリー・クラーク作品の中ではサスペンスが有って観やすいかもしれない。殺人計画が失敗してろくなことにならない予感しかない。
不穏さと暴力の匂いが立ち込めて消えない。
殺人方法も、実際に手をくだす様も、殺人後の振る舞いも、グループのメンバーが揃いも揃って、ただただ愚か。

前情報なしに観たけど、終盤に来て実在の殺人事件を元にしてるなと確信した。

ラスト、各メンバーが裁判所から求刑内容を伝えられてハイ、終了。という救いの無さ。
その時のヘザー(ドラッグジャンキー女子)が最高。極端な話、刑務所に行こうが行くまいが大して影響ない。

アメリカの光と影。人々がスポットラストを当てない側面をラリー・クラークは確実に生生しく捉え続ける。
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