ざわ

劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段のざわのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

むか〜〜し一度観たことがあるような記憶…。

子ども向けアニメとリアルな室町時代描写のバランス感覚が上手いと思いました。


戦で傷つき逃げてきた落武者の一人称カット(しかも彩度低め)で始まるのやばくない??凄いね。

話が厚いな。
①宿題が入れ替わってて高学年用の難しい宿題でオーマガトキ城に行っちゃった喜三太を助けに行く忍たまたちって話。
②タソガレドキvsオーマガトキ(園田村)の戦で、オーマガトキ劣勢だから園田村は負けた時に略奪されないようにタソガレドキに通じてるけど無茶な要求をされつつあり困ってる。戦線は決着ついてもいいはずなのに謎に膠着してるから忍たまたちがそれぞれの城に調査に行くって話。
アバンでこんだけやる??ここまで始まって15分も経ってないのやばいね。

実はタソガレドキとオーマガトキのプロレスで村から年貢以上の金を搾り取るためでした。園田村は不審な動きがバレたので攻められます。までが開始30分。話がうまい。

そしてあえて第三勢力のドクタケ城にタソガレドキは空っぽだよって情報を流す→雑渡さんは伊作に恩があるからタソガレドキ忍軍はこの戦に加わらない→空っぽのタソガレドキ城をドクタケに攻められたのでタソガレドキ軍は急いでそちらへ行く→園田村戦に加わらなかったタソガレドキ忍軍が対応
この流れもうまいよ…。
開戦しちゃったけど忍たまたちにバンバン人を殺させるわけにもいかないから、情報戦で戦を終わらせる。タソガレドキ忍軍が加わらないことによるパワーバランスも素晴らしい。そして戦に加わらなかったタソガレドキ忍軍がドクタケ軍に対応できたからタソガレドキ城も大したダメージを受けなかった。ここでタソガレドキ城が大ダメージ受けちゃったら今後TVアニメで動かすときに厄介だもんな(視聴者にこうなってる経緯は映画観てねって言わないといけなくなる)。だからどの勢力も大したダメージなく終わらせるやり方が今後もTVアニメを続けていく上ではベストよね。

しかし話は一年は組視点で進むから、周りの大人たちや秀才の庄左衛門が難しい話を解説してくれるの優しいな!


乱太郎に手当てされた敵兵が「村に帰って田んぼやらんと…」って呟くのもリアルよね。この人は職業軍人じゃなく、園田村と同じような村の農民って想像させる。そしてそれが保健委員が敵味方関係なく手当てをする意味を補強する。うまい。


時々ギャグ描写あるんだけど、基本弾が当たれば死ぬ世界。穴に落ちても背中にガレキが落ちてきても怪我をする。フィクションの世界では全然無視できるレベルの細かい怪我描写がリアル寄りなんだよな。

割と死と隣り合わせの世界だけど鉄砲を撃つのは大人たちで、子供たちは前線にいても弾込め役であくまで支援。こういうところの意識はすごく良い。

乱太郎、保健委員というところもあるけど、彼は敵に対抗するような能力がある訳ではないし、何より子供を矢面に立たせるわけにはいかないから、治療という面で主人公になるんだよね。ヒーローとして戦の最前線を駆け抜けていくことはさせないバランス感覚よ。

基本的に先生や大人、上級者が下級生を庇うんですよね。子供は守られてるの良いね。1〜6年生は10〜15歳設定だから、早ければ3年生ぐらいから元服の歳だよねきっと。

園田村の村長は人の心がないのか??村人を避難させたくせに子供を戦に出すな。って現代人の感覚だと思っちゃうんですよね。
でもこの当時(室町時代)の感覚だとそんなに不思議ではないのかな。子供は小さな大人とされていた時代だろうし。
見習いと言えど戦はプロ(忍)に依頼し、村長からしたら対価を払って依頼した以上はその後の戦は全て忍にお任せだし守るべき最優先は自分の村の住民だろうし。


現代で言えば傭兵?の佐竹衆を雇ったことと伝令として清八を雇ったことに対して「園田村ってお金持ちなんだな」ってきり丸に言わせる残酷さよ。
戦に巻きこまれて村が滅び天涯孤独になったきり丸と比較して、園田村は一国一城の城攻めするのか?ってぐらいの軍勢とタイマン張れる村なんだよね。


要塞づくりと戦闘描写あまりにもガチ。足が速い子、頭がいい子、武器の使い方が上手い子など各々の適性に合わせた配置がドンピシャなんだよな。こういうところやっぱり戦のプロ集団って感じするね。

普通にアクションシーンかっこいいんだけど!あと仙蔵の髪への異常なこだわりある動き。
ざわ

ざわ