Miver2

悪魔の街のMiver2のレビュー・感想・評価

悪魔の街(1956年製作の映画)
4.0
シンプルに物語を描きながらも、たまに清順監督ならではの撮り方で魅せる所があった所に釘付け。
その思惑や駆け引きの中で描かれる人間模様や攻防戦は、ピンと張り詰めるその緊張感やスリリングさがたまらない作品でとても面白かった。

フィルムの状態がすごぶる良かったので、その色合いや美しさや深みを感じながら観る事が出来た。
何よりも物語をシンプルに真っ直ぐに描いているのがとても面白かったな。
キレのある描き具合はとてもテンポ良かったし、流れて行く時間もあっという間だった。

この作品を観て思ったのは、清順監督の鏡を使った演出がとても好きなんだという事。
この作品とか、「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」とかね。
あの演出に釘付けにならずにはいられない物がある。

清順監督の鈴木清太郎名義での初期作品をいくつか観た事で思うのは、初期の作品はシンプルに真っ直ぐに描く面白さの方が強いように思う。
独特の映像美学の面白さとは別に、このシンプルさと真っ直ぐ加減もまたとても面白くて好き。
味があるし、キレもあるし、力強さや物語それぞれで感じられる豊かさもあるしね。

また機会があれば観てみたい作品の一つです。
Miver2

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