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マイケル・ジャクソン THIS IS ITのkouのレビュー・感想・評価

3.5
《天才の死後》
2010年6月のマイケル・ジャクソンのニュースを聞いた時、初めは嘘だろと思った。マイケル・ジャクソンが好きで、子供の頃から聞いていたが、その当時は、やはり全盛期は終わっているというイメージが強く、どこかゴシップのニュースでしか聞くことがなくなっていた。ライブを予定しているということも知っていたこともあり、ニュースにどこか信憑性が持てなかったというのが正直な感想だ。

でも、マイケル・ジャクソンは死んでしまった。今作ではそんな、マイケル・ジャクソンが計画してたライブツアーのリハーサルの映像を切り取った、ドキュメンタリー映画であり、マイケル・ジャクソンという天才の偉大さというのを存分に感じられる一作になっている。

このライブでの復活のときに向けてマイケルの綿密なリハーサルの様子が描かれるのだが、その姿がとてもすごい。動き、声、パフォーマンスなど、レベルの違いに驚かされる。圧巻という言葉が一番ふさわしいのではないか。また、素晴らしい楽曲の数々。マイケルのベスト曲ばかりで、どれをとっても素晴らしいかった。

僕の中で、マイケルの死後、色々なメディアで彼の事を取り上げられ、それまでのスキャンダル的な扱いから一転、変な持ちあがり方をしていてとても違和感があった。そして何かふわふわとした死の感覚しかなかった。今作はマイケルの人格や、彼自身の苦悩や悲劇性にスポットは当てない。そこに見えるのはマイケルの洗練された部分だ。そこではただ純粋に、彼のパフォーマーとして、ミュージシャンとして、プロデューサーとしての素晴らしさだけを伝えている。だからこそ、感動的なのだろうと思う。
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