タマル

荒ぶる魂たちのタマルのレビュー・感想・評価

荒ぶる魂たち(2002年製作の映画)
3.4
やっぱ、監督が自作に出演する場合は、あっけなく殺される役じゃないとね ♪

以下、レビュー。


好きな人は本当に好きな暴力映画の隠れ傑作。とはいえ、個人的に150分は長いと思う。物語の焦点を絞るべきだったかな。組織闘争なら『アウトレイジ』みたく主人公自体の影は薄くして群像劇にしてみた方が良かったかも。本作もオールスターキャストなんだし、各キャストをバランスよく描こうとしすぎてどうにも間延びした感が。

本作の白眉は竹中直人扮する樋口洋一ですね。やたらとコメディリリーフの役者が増えた感がある昨今ですが、こういう重厚な演技もこなせる名優がどれほどいるものか。いやー渋いね! 素晴らしい。
主演の加藤雅也も、私はそんなに知らなかったのですが、すごくスタイルが良く。現代的な意味でスタイリッシュヤクザっていうのは言われてみれば見たことなかったですね。「格好良い」ではなく、“COOL”なヤクザ。だけどしっかりヤクザしてて新しい。
松方弘樹、この頃はそんなに顔変わってないのね。『仁義なき』で見た時の顔とそんな変わらん。ただ、笑顔が不気味で恐ろしく、こういう所に年齢の味が出るかと感心してしまったり。
白竜はまた殺し屋をやってる。そして案の定はまっている。二人組の殺し屋、しかも年齢が離れているといえば『GONIN』の京谷と柴田を連想してしまうのだけど、なるほど、親子ってパターンなのね。極道も一つの親子の話だし、この関係の対比は面白い。若干唐突のネタバラシ感があり、二人の関係をもっとちゃんと描いて欲しかったが、なにせ様々な人物の描写に時間を割きすぎているので、それも難しいのでしょう。これは全体に言えることだけど、掘り下げるべき人物と周辺の関係性を定めて、そこに比重を置くべきでしたね。様々に人物に手を出しすぎて、半端に掘られているもったいないキャラクターが目につきました。

では、最後に一言。

たかが人生!!
ドカンと弾けたれやぁあ!!!!
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