猫脳髄

ドッペルゲンガーの猫脳髄のレビュー・感想・評価

ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)
3.9
人工人体の開発を会社で嘱望された天才エンジニア(役所広司)は、スランプに陥ると同時期に、自分とまったく同じ姿をした男に付きまとわれ、大いに困惑する。
職場や自宅に勝手に上がり込み、傍若無人に振る舞うその男はしかし、エンジニアの願望をよく理解し、会社を追われた彼の研究を陰から支えるようになる。
男の登場に困惑するエンジニアの前に、弟のドッペルゲンガーと一緒に暮らしているという女(永作博美)が現れ、彼は次第に惹かれていくが、「分身」は彼女にまで食指を伸ばしていく。

古典的な「分身」モチーフをあけすけに扱った、黒沢風ブラックコメディ、ピカレスクと言える作品。画面分割でエンジニアと分身のダイアローグを多用するが、実際には役所広司の見事な一人芝居に舌を巻くことになる。

実際に「分身」が登場しなくても、すべての登場人物が内在的な分身を露呈して、ストーリーがツイストしていく。もちろん、黒沢モチーフもふんだんに盛り込まれ、シリアスな緊張を高めるが、クライマックスからラストにかけては小気味よさすら感じる秀作。
猫脳髄

猫脳髄