スローモーション男

デルス・ウザーラのスローモーション男のレビュー・感想・評価

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)
4.8
 2022年見納め映画

黒澤明が旧ソ連で製作した映画。

シベリアに地質調査に来た隊長ウラジミールとその森に住む猟師デルス・ウザーラの友情を描いた感動作!

素晴らしかったです!
 大自然のなかに生きる人間を描くヒューマニズムの傑作!!!

 広大なシベリアの大地を映した映像のダイナミックさと美しさ。言語も伝わらないなかで黒澤は力強く描いている。
 隊長とデルス・ウザーラの関係性も幾度となく訪れる試練を2人で乗り越えていくことで本当の友情を育む。これこそ人間の真の生き方のような気がします。

 さらには後半の展開も驚きました。
ドストエフスキーの『白痴』から影響を受けたのもわかる。
あと宮沢賢治の寓話のような物語であり、宮崎駿も影響を受けたのが分かる一本。

 前作『どですかでん』で興行的に失敗し、自殺未遂まで起こした黒澤がよくここまで復活したと思います。
 人間社会に疲れた彼が、様々な人に助けられた黒澤自身がこの映画に本当の生き方を見出だしていたのかと感銘を受けた。
「カピタン!」「デルス!」

今年もありがとうございました!