ドッグヴィルの次、機会の地三部作の2個目。
グレースの独善的な行動が全部裏目になってしまうのがおもしろい。
最初のほうは優等生的なグレースの行動は共感できる。
でも結果として悪いほうに転がっていくのはグレースの未熟さゆえの必然な感じもする。
グレースの未熟さは線引きを曖昧にしているところだと思った。
冗談を言う個人の自由とかを多数決で決めてしまったり、
自分を高潔だと思いながら自分に甘かったり、
頭でっかちなのに感情に流されて、
セットのシンプルさも含めて、
グレースのおままごと感を感じた。
グレースのための実験というか。
シチュエーションを与えて、
実験をしているうちに問題が表層に表れてくる感じ。
共同体として成立している関係に率先して介入していくスタイルは、
アメリカそのものを表しているのかもと思った。
実際に黒人が解放されたときに、
形だけの権利と自由を与えられて、
実際はなにもできなくて大変だったんだろうなって思った。
「白人が黒人を作ってしまった」からっていうのは、
ものすごい力があって、
とてつもない問題すぎて、
エンディングみながら、
人間の抗えない性みたいなものが思ったより強大で、
それを良くしようとか思えないし、
関わりたくないなと思ってしまった。