Jeffrey

ゼロ地帯のJeffreyのレビュー・感想・評価

ゼロ地帯(1960年製作の映画)
3.8
「ゼロ地帯」

本作は女流作家エディス・ブリュックの原作をジロ・ポンテコルヴォが監督したナチ強制収容所のドラマで、この度ようやく国内で初ソフト化され、BDを購入して初鑑賞したが傑作。脚色はフランコ・ソリナスとジロ・ポンテコルヴォの共同で、監督がベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞した「アルジェの戦い」は私の大好きな映画の1本である。なので、長年楽しみにしていた作品でもある。映画は1960年に
イタリアで制作され、当時VHSのタイトルは「戦慄ナチ収容所」だったような気がする。リヴェットから酷評された作品としても有名だそうだ。本作は壮大なナチス収容所生活を生き抜く1人のユダヤ少女の運命を描きアカデミー賞外国語映画賞候補となった戦争ドラマである。


さて、物語はナチスの強制収容所に送られた14歳のユダヤ人、エディット。すぐに両親は殺され、天涯孤独となった彼女は政治犯の医師によってユダヤ人であることを隠され、助手としてポーランドの労働収容所へ輸送された。通訳のテレーザらとともに生活するうち、なんとか生き抜こうと決意したエディットはナチスの士官に取り入り、監視員である"カポ"に任命される。管理する側に回った彼女は他の収容者から疎まれつつも恵まれた生活を送る。そんな時多くの捕虜たちが収容され、ソ連兵サーシャと恋に落ちたエディット。次第に戦局が悪化する中、捕虜たちは脱出計画を立てエディットも協力を要請されるが、それは彼女にとってあまりに厳しい試練となった…と簡単に説明するとこんな感じで、第二次世界大戦の収容所を舞台に、1人のユダヤ人少女の過酷な運命をドキュメンタリータッチで描いた戦争ドラマ。

主演のエディットに「女優志願」のスーザン・ストラスバーグが選ばれて素晴らしい芝居をしている。彼女に人間の尊厳を解くインテリ女囚テレーザには「二十四時間の情事」のエマニエル・リヴァが出ている。この映画は冒頭からものすごい迫力がある。というのもピアノというかオルガンの壮絶な旋律が鳴り響き、収容所の列車が通過するシーンがひたすら流されスタッフロールが流される。ちなみにオリジナルタイトルはカポである。あのユダヤ人収容所のワンシーン強烈な印象を残す。あんな死体のような女性たちが左右のベッドでゾンビのように蠢きながら横並びになっているのとかすごい。
Jeffrey

Jeffrey