矢吹健を称える会

大殺陣 雄呂血の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

大殺陣 雄呂血(1966年製作の映画)
3.7
 序盤のスピーディーな展開と端正な画面にさすが大映と思い、中盤の若干ダルな話運びにウームと思ったりもしたが、そういった感想をすべて粉砕するラスト20分である。何しろ一太刀も浴びることなく、全員斬っちゃうのだから驚く。強すぎじゃないすか。何人殺してるんだよ。「寝っ転がりながら敵を斬りまくる」というのは『薄桜記』でもやったネタだが、まさかそのまま全滅させてしまうとは……日本のチャンバラ劇史上でも、ここまでの無茶を通した例はまずないのではないか。
 ドラマとしては『手討』や『疵千両』に劣ると思うのだが、八千草薫と女郎屋で再会するシーンあたりから、アクションが論理や感情を追い抜いていく。目を見開いて市川雷蔵を見つめるほかなかった八千草と、殺戮を完了した市川が佇むラストが素晴らしい。