なべ

ローズマリーの赤ちゃんのなべのレビュー・感想・評価

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)
3.0
 中学生の頃に初めて観た時は、すごく騙された感があったローズマリーの赤ちゃん。ローズマリーをレイプする悪魔や産まれた赤ん坊の姿を見せないやり口が許せなくて、何度観ても名作と呼ばれる評価に納得がいかなかった。
 さすがにいい大人となった今なら、評価も変わるだろうと気持ちを新たに見直してみたけど…やっぱりおもしろくない。いや、モンスターを見せないのは全然構わないんだよ。でももっと怖くできるよね。もっと嫌な感じにできるよね。隣人の死、臭いペンダント、役者仲間の失明、奇妙な隣人、胡散臭い医師と材料は揃ってるのになんかカラッとしてる。ミア・ファローがポジティブな輝きを放っているせいか、物語が負けてる気がする。
 これ、オカルトホラーだよね? 当時も怖くなかったし、今も全然怖くない。怖さを味わうというスタンスがそもそも違うのか? ニューヨークでの垢抜けた暮らしに潜む罠? 映画界に蔓延る魑魅魍魎たちの暗喩? ミア・ファローのPV? ポランスキーは好きだけど、本作はどうも観方がよくわからない。妊娠の不安と恐怖というか、心理サスペンスとしてもたいしたことないと思うんだけど。過剰に評価されてないか?
 ダコタハウスが映ったときはおぉってなるけど、内部はセットだしなあ。
 だいたいミア・ファローからしてチャーミングだとは思うけど、そんなに魅力を感じないんだよな。
 おもしろくなくはないけど、決して傑作とは思えない。ホラー映画の先駆的作品として、資料的な意味合いでのおもしろさは感じられるけどね。
 いつかこれをおもしろいと思える日が来ると思い、これまで寝かせてきたけど、ヘレデイタリーで同質の恐怖を存分に味わった今となってはもう本作に価値を見出すのは難しいかな。
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