マヒロ

インディアン・ランナーのマヒロのレビュー・感想・評価

インディアン・ランナー(1991年製作の映画)
4.5
俳優が監督した映画って割と良い映画が多いなぁという印象があるんだけど、あのショーン・ペンが弱冠三十数歳で撮ったこの『インディアン・ランナー』も、本当にその歳で撮ったのかと疑うほどに重厚な素晴らしい作品だった。

警官で家族と幸せに暮らしている男ジョーはベトナム戦争から帰って来た弟フランクと久しぶりに再会するが、戦争で心を病んだ弟は以前とは打って変わって様子がおかしくなっていた…というお話。

冒頭、正当防衛ながら人を殺めてしまうジョーと、はっきりとは描かれないながらも戦争によって悲惨な体験をしてきたであろうフランク。対照的なようでどこか通じるもののある兄弟が、理解し合えるようでどこかすれ違ってしまう様がもどかしくも悲しい。

これが出世作だというヴィゴ・モーテンセンが見事なハマリ役で、危険な男のように見えてどこか空虚な雰囲気を漂わせる帰還兵の弟を完璧に演じきっていた(チンもしっかり出してるぞ)。役者で言えば、バカ純情な弟の彼女のを演じたパトリシア・アークエットのバカ可愛さや兄弟の父を演じたチャールズ・ブロンソン(髭なし初めて見た)の枯れた格好良さ、デニス・ホッパーの強烈な胡散臭さなどなど、その人ごとの魅力の引き出し方も上手かった。

役者としても超一流で、監督としてもこんなに素晴らしい作品を撮れるなんて、今更ながらショーン・ペンってすごいんだなぁと痛感させられた。

(2016.54)
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