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ドクトル・ジバゴのメルのレビュー・感想・評価

ドクトル・ジバゴ(1965年製作の映画)
4.5
ロシアの詩人・作家 ボリス・パステルナークの自伝とも言える恋愛小説を「アラビアのロレンス」の監督デヴィッド・リーンが映像化した。
ロシア革命の波に飲み込まれながら、詩を愛する医師ユーリー・ジバゴと愛人ラーラが出会いと別れを繰り返す、恋愛超大作。

小説は本国(ソ連)では30年以上発禁で、内緒で国外に持ち出されイタリアで出版された。その後ノーベル文学賞を授与されたが政府の圧力がかかり辞退させられる。
ペレストロイカが始まった1988年に初めてロシアの雑誌に掲載され、1989年には息子がノーベル文学賞を代わりに受賞したとか。

監督の映画に対する熱い情熱がスクリーンの上に広大なロシアの大地と自然を写し出す。( 撮影はスペインだったとか )

「アラビアのロレンス」でもそうだが、デヴィッド・リーンは大自然の中でひたむきに生きる人々をとても感動的に美しく表現する。

ジバゴを演じているのは今年7月に亡くなったエジプト生まれのオマー・シャリフ。ロシア人の顔に近づける為に結構苦労したとyoutubeで語っていた。
妻のトーニャはチャーリー・チャップリンの娘のジェラルディン・チャップリン。
ラーラはインド生まれのジュリー・クリスティ。このラーラの瞳が本当に綺麗!

2人の女性を愛した男の話と捉えるか、1人の男を愛した2人の女の物語と捉えるかは見方次第。

ジバゴの義兄役のアレック・ギネスがラストで言う、「詩を愛する人は詩人(ジバゴ)を忘れない。ロシア人は詩を愛する国民だ」の台詞にジバゴとパステルナークが重なった。
ラーラをジバゴから引き離し、ラーラの娘の手を離したコマロフスキー。 「父親なら娘の手を離さない」この言葉の意味するところは大きい。コマロフスキーは最後の最後まで悪だった。

厳しい統制下に生きたパステルナークは、自分の小説がロシア国民に読まれ、世界的人気を得た映画になるとは想像していなかっただろう。

映像と同じく音楽も美しく、ラーラのテーマは今でも映画音楽のスタンダードナンバー。