ゲー

みんな〜やってるか!のゲーのレビュー・感想・評価

みんな〜やってるか!(1994年製作の映画)
4.0
たけし流ナンセンス・シュールコメディー。
どうしょうもなく下品で馬鹿しい映画ではあるのだが、一方でとても知的な作品。

ともすればサイコサスペンスにもなりかねない程に、性的欲求以外の感情が排除されたダンカン。カーセックスをする為、歪んだ世界で虚無的かつ刹那的に動き回る。
テレビじゃやれないネタを、テレビ的でない、昔の無声映画の如く淡々としたノリで、次々と展開していく。

ダンカン馬鹿野郎!

ダンカン馬鹿野郎とは言われるものの、この映画での演技力や馬鹿の裏側にある秘められたインテリジェンスを見れば、ダンカンは馬鹿野郎ではない事はよくわかった。知性ある男が賢明に馬鹿をやっているのだ。


90年代、札束を詰めたアタッシュケースを常に持ち歩いていた事で話題だった宮路社長が本人役で出演!懐かしすぎて滅茶笑った。

唐突にクローネンバーグのザ ・フライのオマージュが出てきたのも驚き。たけし、やっぱり色々観てるんだな。

後半、座頭市・ヤクザ映画・怪獣特撮と、多方面へ喧嘩を売る勢いで話は変わる。
その辺りになると、あえてベタなギャグを混ぜたり、観る者を呆れさせる事に徹してしまったのか、ダレ気味に。
が、それすらも狙いである気がする。
空虚なまでの馬鹿馬鹿しさに哲学を感じた。


たけし作品としては黙殺されがちな作品だと思うが、それも止む無しか?カルト映画路線だけど傑作だと思う。
ゲー

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