イルーナ

ジュラシック・パークのイルーナのレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)
4.0
言わずと知れた恐竜映画の金字塔。
それまでの恐竜や怪獣の特撮技術と言ったら着ぐるみとか、アニマトロニクス(ロボット)やストップモーションアニメだった。
しかし本作で生み出されたフルCGの恐竜はあまりにもリアルで、映画史に残る映像革命となった……
いや劇場で観た方がうらやましい。本当に衝撃だっただろうなぁ……
一応幼いころにテレビで観た記憶があるのですが、あまりに昔なのでトイレに立てこもった人が真っ先に食べられるシーンしか覚えていなかった(苦笑)こんなマヌケすぎる死に方はやだ。
で、今回超久しぶりに観たのですが……

うん、やっぱり面白い!さすが娯楽映画の王道。
前半は現代に蘇った恐竜の姿と、恐竜の復活・管理にまつわる技術を見せて、知的好奇心をくすぐる。
琥珀に閉じこめられた蚊の吸った血液から復活させるというアイデアは、ポケモンシリーズでも使われていましたね。
現実では不可能なのが残念です。
後半は様々なトラブルが積み重なった末の、恐竜大暴れ!その姿は30年近い年月が経って今でもまったく古さを感じさせません。
クライマックスでおいしい所をかっさらっていくティラノサウルスですが、当初の予定では普通にラプトルを倒して終わりだったとのこと。
が、監督の「ティラノが看板なのに、ティラノを出さないで終わったらブーイングが起きる!」という鶴の一声で変更されたという。
だからこそあの名シーンが生まれた。まさに大英断です。「When Dinosaurs Ruled the Earth」の垂れ幕も誇らしげ。
しかしあれだけ恐ろしい目に遭っても博士たちは決して、恐竜を殺そうとはしない。そこには確かに、生命へのリスペクトがありました。
逃げてる最中ブラキオサウルスと出会うシーンで、恐竜を怖がるレックスに対し「理由もないのに、嫌っちゃいけないよ」と諭すグラント博士のセリフがまさにそれを象徴していました。
だけど「生命は必ず道を見つける」の名台詞、なぜカットした……!不穏さだけでなく生命のたくましさを表した、本作を象徴するものなのに。
というかマルコム博士の台詞は、カオス理論を分かりやすく説明したたとえ話や、「カリブの海賊は人を食いませんよ」など名言ぞろい。

本作で描かれたトラブルの数々。生命倫理はもちろん、警備の杜撰さや労働者の雇用問題も描かれる。
初っ端からラプトル運び込む場面ですでにシステムガバガバで、不安をかきたてる。
ネドリーの件は完全に現代にも通じる労働問題ですよね。
200万行もあるコードからバグ取りなど、パークの根幹にあたる重要な案件を実質たった一人でやらされる。しかも安い給料で。
そもそもあれだけ危険な生物を扱っているのに、パークの職員が少なすぎる。
そりゃ造反したくなるわ……
現在では恐竜の驚異やエンタメ性よりも労働問題が注目されるあたり、時代は変わったと痛感させられます。世知辛い話……
イルーナ

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