こたつむり

ジュラシック・パークのこたつむりのレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)
3.1
★ 閉ざされた琥珀の向こうに
  新しい何かが待っていて

コンピュータグラフィックス。
その衝撃を受けた作品でした。

何しろ、劇場公開は1993年。
ポリゴンと言えばカクカクの時代ですからね。まるでドット画で構築された価値観を壊す“黒船”のように、恐竜がぬるりと動く様に「ほう」と溜息が漏れたものです。

そして、それから25年後の現在。
改めて鑑賞しましたが…うん。相変わらずビジュアル面は突出していました。また“遺伝子”について、教育番組のように分かりやすく噛み砕いているのも面白かったです。自分が子供だったら、遺伝子の可能性に目を輝かせていたかもしれません。

ただ、大人目線で観てしまうと…うーん。
恐竜がグリグリ動く様が目玉ゆえに、物語をシンプルに仕上げているのは良いのですが…それに伴って人物描写が淡泊なのは残念なところ。主人公の描写も上品すぎるのです。

やはり、活劇の主人公ならば。
濃厚なコンソメスープのように“信念”が欲しいところ。“子供が嫌い”という特性もありますが、その根拠が分からないため、それを克服してもカタルシスが薄いのです。

だから、正直なところ。
脇を固める数学者の《イアン》や、ジュラシック・パーク創立者である《ハモンド》のほうが魅力的なのです。彼らからは“信念”を感じましたからね。

特に《ハモンド》の少年のような心は『レディ・プレイヤー1』の《ハリデー》に通じるものがありました。もしかしたら、スピルバーグ監督が自身を投影したのかもしれません。

まあ、そんなわけで。
ひとつの時代を切り拓いた作品。
そんな歴史的な価値はありますが、刺激的な内容を盛り込んだ現代の作品に比べると単調に感じるのは事実。気楽なスタンスで臨むのが吉だと思います。

最後に余談として。
物語の序盤で、地中の化石をレーダー探査で調べる場面がありますが、あれは地味にオーバーテクノロジー。あんなに明確な形で分かるのならば、某駅前の陥没事故も防げたかもしれませんね。

To be continued… →→→ 
      『ロスト・ワールド』
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