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ロスト・ハイウェイのtenのレビュー・感想・評価

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)
3.5
気が狂うと直線に進むのが怖くなるのだろうか、それともただ直線に進めなくなるのだろうか。冒頭に小気味良い速さで流れる幹線道路のショットが、男の行き場のなさを象徴している気がする。数メートル先しか見えない暗い道路を果てしなく、行く宛もなく、高速で走らねばならない切迫感や恐怖。「起こった通りに記憶したくない」という男の妙なセリフが、作品の流れを示唆している。その分裂が自分の精神を高速の流れの中で追い詰めるとも知らず、逃れようと倒錯し続けた罰のような苦しみ。
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