アキラナウェイ

ヒューゴの不思議な発明のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)
3.2
子ども向けのファンタジー映画と取れる邦題とジャケット。御多分に洩れず、そう思い込んで全く関心が無かった映画。
しかしまぁ巨匠マーティン・スコセッシ監督にエイサくん、クロエちゃん、ベン・キングズレーと役者が揃えば、予想を覆してくれるのでは?と期待しての鑑賞。

そうしたらまぁ、確かに予想とは全く違う展開。
それが「良かった!!」にもなり得るし、「ガッカリ…」にもなり得る不思議な映画。

「ヒューゴの不思議な発明」ときたらキテレツ大百科的なトンデモ発明をヒューゴ少年が見せてくれるものと思ったら違った。いつもの如く邦題に難癖をつけたい所だが、原作が「ユーゴの不思議な発明」なもんで文句が言えない。
うーん。でも彼は発明しないんだよなぁ。

戦前1930年代のパリ。孤児のヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、駅の時計台に隠れて住んでいた。機械いじりが好きな彼は、亡き父(ジュード・ロウ)が残した機械人形を修復しようとしていた。駅の中にある小さな玩具屋の店主ジョルジュ(ベン・キングズレー)とその養女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、彼等の運命の歯車が動き出す。

パリの街並み、駅の日常風景、その中での活き活きとした人々の躍動。映像が素晴らしく美しく、カメラワークも面白い。綺麗過ぎてどうかとも思うが、小さな埃が舞っていたりするのは好感が持てた。ヒューゴが隠れて住む時計台の壁の裏側は大小様々な歯車があり、胸が踊る。天才子役が2人も揃って、大人も子どもも演技が素晴らしい。しかし、今からどんな冒険活劇が始まるだろうと期待すると間違いなく肩透かしにあう。

「私、冒険が好きなの!」なんてイザベルに言われたら、そりゃ期待するっちゅうねん。

機械人形の謎はやがて映画創成期の歴史を辿る事になり、壊れた機械人形を直す事が、やがて壊れた人を治す事に繋がっていく。

思っていたものとは違ったが、ヒューマンドラマとしては心温まる。映画史に詳しければ尚楽しめるのかも。

しかし、従来のスコセッシ作品とは明らかに毛色が違うし、やはり総論としてミスリードされた感が強い。

これは賛否分かれそうだけど、昔の映画がどの様に撮影されていたかを見れたのは興味深く、絶賛とは言わないまでも楽しめた。