あしたか

ヒューゴの不思議な発明のあしたかのレビュー・感想・評価

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)
3.5
[あらすじ]
1930年代のパリ。リヨン駅の屋根裏にある時計台の中には、父親を失った少年ヒューゴが一人で住んでいる。生活に必要なものは駅のあちこちから拝借する借り暮らし。だが彼がもっとも収集に執念を燃やすのは、父親が残した機械人形の修理に必要なパーツ。人形を動かせば、父親が遺したメッセージを読める、そう彼は信じている。だがあるとき、ついに盗みの現場を玩具店の主人にみつかってしまい…(超映画批評より)


[見所]
●美しく、アーティスティックな映像
⇒冒頭のパリの街並みやリヨン駅の美しさにすぐに心をグッと掴まれる。
機械人形や主人公の居住空間をはじめとしたスチームパンクな世界観も魅力的で、ワクワクしてしまう。

●謎めいたストーリー
⇒機械人形のことを知る不思議な家族、そもそも人形は何なのか?一体どんなメッセージを人形は語るのか?という謎を追いかけるストーリー。
子供らしくスケールの小さめなアドベンチャーにもなっており、視覚的にも楽しませる。

●映画というコンテンツへの愛
⇒映画黎明期を支えた実在の映画監督ジョルジュ・メリエスとその妻・ジャンヌがキャラクターとして登場する。
(※『月世界旅行』が特に有名)
過去の作品映像や昔の映画作りの過程などが拝めるので、この辺は映画好きの大人からすると非常に楽しい部分。
ジョルジュにラブレターを送るかのような映画愛に溢れた作品に仕上がっている。まさに映画のための映画。批評家からの評価が高いのも納得。
ストーリーの本流の謎が彼の人生と合流するクライマックスは中々に感動的だ。


映画とジョルジュという存在を通して語られる、「機械に無駄なパーツが存在しないように、世界にも不要な人間は一人もいない」という人間賛美のメッセージが強烈だ。マーティン・スコセッシ監督がこんなことを言うのだから説得力がある。
巨匠の手腕がものを言う、大人も子供も楽しめる素敵なアドベンチャーだった。
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