ヴェネツィアで銀獅子賞を受賞した、ロベルト・ロッセリーニ監督による"戦争三部作"の第2作。
1943年第二次世界大戦末期のイタリアを舞台とする、全6話から成るオムニバス形式の戦争ドラマ。時代背景として、当時のイタリアは、ムッソリーニ政権が失脚し、連合国軍に鞍替えして、ドイツ軍と戦っている。
全6話とも市民レベルの戦争悲劇。戦争の無常、虚無感、絶望感を突き付けてくるラストシーンが実に見事。無名時代のフェリーニが脚本・助監督として携わっているそうだが、この言葉にならない余韻の残し方は、彼の功績が大きいのかもしれない。
ナポリを舞台に黒人憲兵と窃盗を繰り返す戦争孤児の交流を描いた第2話と、ローマを舞台に泥酔した米軍兵士とイタリア人娼婦の悲しき偶然の再会を描いた第3話が強く心に響いた。次点で第1話。
後半の3話はドラマ性が弱かった印象。特に、プロテスタントの牧師とユダヤ教の祭司がカトリック修道院を訪れる第5話はあまりピンとこなかった。
イタリア・ネオレアリズモ。素人俳優の起用、野外ロケ、実録映像の挿入が特徴。第2話ラストの廃墟、第4話の瓦礫の山と化したフィレンツェの街、第6話の「パパー、ママー」と泣き叫ぶ幼子の姿には、激しく心を掻き乱された。
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