ヒロ

大地の子守歌のヒロのレビュー・感想・評価

大地の子守歌(1976年製作の映画)
4.3
ドラゴンボール悟空のキャラ設定の元ネタであることは間違いないし、涼子先生が宇宙人と交信できるに至った前日譚であることも多分に確定した。17歳の瑞々しく神々しいまでの身体に宿るダイナミズムの解放その副作用としての潔いほどの少女残酷物語、一糸纏わぬ捨て身の体当たり演技とエゴイズムに則った若さ故の輝きの搾取、これはカメラレンズ越しの男と女の戦いでありその結晶。「私は明日からバケモノになる、その前に綺麗なこの身体を今日一日どうにでもしていい」と泣きながら相手の胸に顔を埋めるシーン、女であることを拒絶し続けた原田美枝子が佐藤祐介の前だけで魅せる女らしさ可愛らしさに殺される。幸薄の孤児が女郎屋に売り飛ばされ目暗になるまで酷使されるなんて粗だらけのストーリーは正直どうでもよくて、ただただ彼女の身体性を味わう一本。粗野で利己的なあるがままの欲望を曝け出した増村が描く非現実的で超喜劇的な人間像、彼が描いてきた様々なキャラクターの中でも今作の“おりん”の魅力は群を抜いてる。

《七十年代の憂鬱-退廃と情熱の映画史》
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