たく

大地の子守歌のたくのレビュー・感想・評価

大地の子守歌(1976年製作の映画)
3.8
黒澤明の名作100選に入ってて、増村保造監督ということで観てみた。
昭和7年の瀬戸内で身寄りを失ったおりんが女郎屋に売られて生き抜いていく話で、デビュー間もない原田美枝子の体当たり演技が素晴らしかった。冒頭で田中絹代が特別出演してて、娼婦つながりとくれば「サンダカン八番娼館」を思い出すね。

野生児みたいなおりんが勝気なふるまいで周りにいっさいなじまないのが、観ててちょっとイライラする。もう少し大人しくしてればいいのにって思ったけど、女郎屋という過酷な世界で生き抜くにはこうするしかないという彼女なりの覚悟なんだろうね。この日々の生活の様子に四国お遍路のカットが挿入されていき、後半登場する牧師さんが文字通り神の遣いみたいな感じでおりんの運命を変える鍵になるところが、この過酷な話をうまく着地させてた。

当時16歳の原田美枝子が13歳から数年間のおりんを演じてて、少女と女が微妙に同居する感じに全く違和感がない。大胆に裸体をさらしてて、色気よりは野性味を感じさせる迫力がすごかったね。
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