菩薩

お早ようの菩薩のレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.6
郊外の新興住宅地を舞台に、消えた婦人会の会費を巡るひと騒動と、テレビ獲得の為にだんまり作戦を決め込む子供、それに振り回される周囲の大人を面白おかしく描いた作品。

数ある小津作品の中でも、とりわけユーモア指数が高い作品。オナラ遊びにルール無視のしりとり、杉村春子先生、東野英治郎、三好栄子、殿山泰司ら熟練俳優達の濃ゆすぎるキャラクターと、随所にくだらなくもどうしようもなく笑えてしまうポイントが見られる。その中で一際落ち着きを見せる佐田啓二が説く「無駄があるから良い、それが無くては味も素っ気も無い、無駄が潤滑油になる」との意見はなかなか的を得ていると思う。

テレビに対して、一頃流行った「一億総白痴化」の烙印を押してみせるところなどは、主たる娯楽が映画からテレビに移っていく時代に対する小津なりの警鐘と危機感の様な物を感じる。何はともあれ、今では当たり前の様に各家庭にある、冷蔵庫、洗濯機、そしてテレビの三種の神器、生活水準の向上と科学技術の発展、物の有り難みを改めて感じざるにはいられない作品ではある。

小津作品未経験の人には入り口として、このカラフルで可愛らしい爽やかな笑いとラブロマンスはちょうど良い様な気がする。