垂直落下式サミング

神戸国際ギャングの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

神戸国際ギャング(1975年製作の映画)
3.9
健さん率いるギャング団が敵対する暴力団組織とにらみ合うなか、部下だった菅原文太の裏切りによって、かつて仲間だったものたちが二分され、更なる内部抗争の火種をうむ…というおはなし。
見所は何より、高倉健&菅原文太のスターが共演したギャング映画だということ。更に味方メンバーは、夏八木勲、伊藤敏孝、石橋蓮司、真木洋子、和田浩治、ガッツ石松、田中邦衛と、味方に付ければ負ける気がしない面々だ。
感情がないかのように黙々と殺人をしていく夏八木勲、これまで朝鮮系の組織と対立してきたが実は自身も在日朝鮮人だという出自を打ち明ける石橋蓮司、家族のために堅気になろうとするが上手くいかない田中邦衛など、それぞれのキャラクターの描き分けがしっかりしていて退屈しない。
バイオレンス描写も申し分ない。偶然通りかかって不運にも丹波哲郎の殺害現場を目撃してしまった酒屋が、口封じのために平然と射殺されてしまう恐ろしさや、切れ味のないもので指を詰めようとする時の肉が潰れて骨が歪む音、爪を剥いだ指先にロウソクのロウをたらすという拷問シーンなども素晴らしく、フィクショナルに誇張された残虐さながら、現実に肉薄した痛みが伝わってくる。
高倉健は見た目が実直すぎてスーツやくざ役は似合わないが、珍しくセックスシーンを披露しており、これはこれで悪くない。
さらに、菅原文太と泉ピン子のベッドシーンがかなり濃密なので、一見の価値あり。