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戦争は終ったのSのネタバレレビュー・内容・結末

戦争は終った(1965年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2020/11/19 DVD

本作での「戦争」とは、スペイン市民戦争の事である。

スペインの左翼作家ホルヘ・センプランのシナリオをもとに、スペインの右翼フランコ政権に反抗して、自由を求める運動を25年続けている筋金入りの革命家ディエゴの思想と状況を、緻密な演出のもとに3日間凝縮する政治と愛の物語。

1965年4月18日 日曜日の朝、ディエゴは同志の旅券でスペインからフランスへ入国しようとする。警官が旅券の持ち主に電話をかけたところ、その娘ナディーヌが事情を察してうまく答えてくれる。
彼の目的はマドリードで革命家の一斉検挙が始まり、それをパリの仲間に伝えることだ。彼とナディーヌの官能描写は濃密である。
翌日妻マリアンヌはディエゴを温かく迎える。だがディエゴにとって、愛よりも祖国スペインと同志のことが全てである。妻は救いがたいと諦めている。3日目、ディエゴは急にスペインとバルセロナへ行くことになる。ナディーヌは刑事が父のパスポートを調べにきたことから、ディエゴの身許が知れたと直感する。ディエゴは逮捕されそうだ…。

祖国と同志がディエゴの全てであり、いつまでも見果てぬ理想を求め続ける。意識の映画であると同時に、幸福を求める女性の愛の映画でもある。フランスの国民的名優モンタンの知性溢れる渋い演技、ベルイマン 映画の主役女優チューリンの気品、「まぼろしの市街戦」出演前のビュジョルドの可憐さも見もの。
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