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君と別れてのslowのレビュー・感想・評価

君と別れて(1933年製作の映画)
4.2
様々な愛が絡み合う(ドロドロと言うわけではない)サイレント映画。
芸者の母と息子。その母を慕い、息子にも想いを抱く後輩芸者の少女。息子は母が芸者をしていることが嫌で不良グループとつるむようになり、少女はそれを心配して….とベタな話ではある。しかし、細かいユーモアとサイレントならではの丁寧なカットの数々はどれも新鮮に感じられ、堤幸彦もここまではしないだろう攻撃的なズーム(当時はズームレンズがなかったと思われるので、カメラが寄ってる?)の連続にはびっくり(ややクドくて笑った)。また60分というコンパクトさがちょうど良かった。

吉川満子は『生まれてはみたけれど』でも母親を演じていたけど、お母さんがよく似合う。そして少女を演じた水久保澄子の瑞々しさ。当時アイドル的な人気があったようだけど、仮に現代でもトップクラスじゃないかな。惚れる可憐さ。
母や少女がその仕事を続けざるを得ない理由は酷で切なく、2人の台詞に胸が苦しくなった。
でもやっぱり一番は水久保澄子か。想いを絞り出す瞬間が不意で、その言葉にスッと脱力していくのを感じた。