ニャーすけ

ハッピーフライトのニャーすけのレビュー・感想・評価

ハッピーフライト(2008年製作の映画)
4.2
テレビ屋によるプロデュース作品だとしても、毎回ちゃんと丁寧で良質な映画を撮り続けている矢口史靖監督は日本映画界の良心だとつくづく思う。

本作も、国際線の旅客機が機体不良で緊急着陸する“だけ”という、航空機内を舞台にした作品としてはあまりにも盛り上がりに欠けそうな題材にも拘らず、空港職員の各セクション業務を徹底して詳細に描くことで、トリビア的な面白さもありつつしっかりハラハラもさせるバランスがすごく巧い。
各部署ごとの、それぞれに興味深いエピソードを繋ぎ合わせたオムニバスのような前半から、機体不良をきっかけにそれらの部署が安全な着陸のために一丸となっていく後半にかけてのドラマツルギーも非常に高度。こういう作劇のため、登場人物同士のやり取りは各部署間では希薄ながら、綾瀬はるかと田辺誠一のコメディ俳優としての魅力が作品に統一感を与えており、散漫な印象がまったく無いのも凄い。
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