秋日和

飛行士の妻の秋日和のレビュー・感想・評価

飛行士の妻(1980年製作の映画)
4.5
彼女が金魚鉢に餌を落とすと、鉢の中に雪が降る。彼がスノードームを手に取ると、ドームの中に雪が降る。同じ時間に同じ場所で、けれど別のカットで行われる二つの降雪。なんでもない手持ち無沙汰の時間だって、ロメールの手にかかればこんなにもワクワクする。
前々から上手だなと思っていたフレーミングセンスは本作でも変わらず光ってる。世界はこうやって切り取ればいいんだぜ、的な呟きを随所に聞くことが出来るけれど、やっぱり一番は写真を撮るシーンだと思う。確信犯に満ちた露骨な盗撮が本当に最高(劇中に突然現れる15歳の少女にその役割を務めさせるっていうのが良いよね!)。自分の彼女が作った別の男をストーキングするシーンにジメジメ感が漂わないのは、多分、この抜群なユーモアのお蔭。フレーミングに敏感なロメールだからこそ、写真を撮るシーンがあんなにも豊かなものになっちゃうのだろうな。
勿論、いつもながらの男女会話シーンも最高最高。男が冗談に「今日ナンパしちゃったぜ」と口にした途端、彼女は男と同じカットにいるのを拒否し出すんだから。さっきまで男の悪口ばっかり言いつつも甘えていたクセに!ちょっとあれは悶えるしかないでしょう。素晴らしかったな。珍しく胸を張って大好きと言えるロメール。