菩薩

飛行士の妻の菩薩のレビュー・感想・評価

飛行士の妻(1980年製作の映画)
4.5
郵便局で夜勤のバイトに勤しむ苦学生vs超絶イケメンパイロット。どう考えたって超絶イケメンパイロットに分があるわけで、かつ限りなく非モテ男の人生を歩んで来た可能性が高いが為に蓄積されたその粘着質、自信の無さ、疑り深い性格など、もはや身に覚えしか無く、こいつは俺の分身なのではないか?と錯覚を覚えながらの鑑賞となった。そんな非モテ男がモテ男であるパイロットをストーキング、相棒は偶然その場に居合わせた15歳の可憐な乙女、このリュシーちゃん、失礼、リュシーたんが『夏物語』のマルゴ、『レネットとミラベル』のミラベルと肩を並べるレベルの超絶美少女、ロメール作品ヒロインの3トップはこの三人で決定となった。そんなリュシーたんが一応は人生の先輩である主人公フランソワ(非モテ男)に諭す「恋愛における選択の決定権は全て女にある。」との真理はぐう正論すぎてもはやなんも言えねぇ。女の「何も無い」は常になにかがあるし、最近彼氏と上手くいって無い可愛い子などツチノコより存在確認が難しい、だが男はそんな事を知りつつも知らないふりをし続けなければいけないし、不倫相手に捨てられたからと泣きじゃくる彼女(仮)を優しく抱擁した挙句、今から「何も無い」男と遊びに行く彼女(仮)を笑顔で夜の街に送り出さなければならない。それが男ってもんだ、それが男ってもんなのか?つ、辛い…だから俺はモテないのか…。例え恋愛関係(仮)にあったとしても、彼女が独立性を要求して来るのであればそれを甘んじて受け入れなければならない、そして彼女を愛しているならば、彼女の発言全てを信頼し、行動全てを受け入れ、耐え難きを耐え忍び難きを忍び続けなければならない、試されているのは要するに「器」の大きさである、む、無理だぁ…俺はおちょこの裏だぁ…。この夏は極度のロメール不足だからと緊急に補給したら手痛いしっぺ返しを食らった。ちなみに『君の名前で〜』のエリオは赤いラコステのポロシャツを着ていたが、このリュシーたんは黒いラコステのポロシャツを着ている。そして俺はプライベートではパチモンの赤いポロシャツを着用し、仕事では黒い安もんのポロシャツを着ている、だからなんだと言うのだ、とツッコんで頂ければこれ幸いである。
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