ryosuke

飛行士の妻のryosukeのレビュー・感想・評価

飛行士の妻(1980年製作の映画)
3.6
35mm
フランソワが居眠りしている最中にクリスチャンを取り逃がしかける描写の繰り返しなど、ロメール流の控えめな冗談なのだろうか。フィリップ・マルローは役柄にあった良い面構え(ちょっとマチュー・アマルリックっぽい) だった。
リュシーがクリスチャンと連れの女性の写真を撮らせようとするシーンなど面白い。劇場でもちょくちょく笑いが起きていた。
リュシー(あんな15歳いるかとも思うがそれがフランスかね)とのエピソードあたりから、時間の連続性を保ちつつ延々とダイアログを繋いでいくスタイルになり、ロメール作品としても結構ドキュメンタリータッチな部類なのではないか。ロメールにしてはショットサイズが窮屈で息苦しい印象もあり、正直そんなに好みでもないが、役者の生々しい魅力は焼き付けられていたと思う。
フランソワとアンヌの部屋でのやり取りなど、会話の中で次第に感情が高まっていく緊張感が良く出ていた。ユスターシュ「ママと娼婦」を思い出したり。ワンシーンの中で怒り、悲しみと忙しいマリー・リヴィエールは実力派だな。
フランソワが三度目の居眠りをした際に、それを中断させるリュシーの姿を見て、彼女は何らかの形でフランソワに転機を齎すのではないかと予感したのだが...結局彼を新たな尾行へと駆り立てるだけであった。
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