愛り

ジョゼと虎と魚たちの愛りのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)
5.0

ちっちゃい時に一回観て、
その時は、恋愛というより、
障がい者の話だと記憶していた。
ベビーカーのインパクトが強すぎて
それしか覚えていなかったんだろう。
そして、
大学生の、冬、
もう一度鑑賞した。

これは大学生の等身大の恋愛だ。
痛いほど理解できる
それぞれの気持ち。
複雑なようで単純。
単純なようで複雑。
こちらとしても、2人のより良い未来を想像したいし、
ずっといっしょにいて欲しいのだが、
“仕方がない”ということを知ってしまったんだ……
ただ見守ることしかできない。
その歯がゆさが余韻として残る。

そして視覚的にも素晴らしかった。
全体を通して美しい。
冒頭のフィルムカメラの写真たちの美しさ、
いちいちの映像美にセンスを感じた。
何より、池脇千鶴の存在が、
彼女が纏う雰囲気が
ありえないほど魅力的で
触れたいけど触れられない、
恋に落ちてしまったように錯覚する程だった。
妻夫木聡もまた、
表情、声、仕草、指、全てが美しい。
今、恋愛している人は辛く、
目を背けたい衝動にかられ、
恋愛をこれからする人は
恋愛は一義的なものではないと
改めて実感するだろう。
愛り

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