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フリーダのRのレビュー・感想・評価

フリーダ(2002年製作の映画)
4.1
メキシコの画家フリーダカーロの伝記映画、ということで、何枚か彼女の作品を目にしたことがあるのと、まゆのつながった独特の見た目と、あとDVDのジャケットの印象から、重そうな雰囲気の映画やなーと思ってたら、全然そんなことなかった。むしろ軽佻なテンポでポンポン話が進んでいくし、フリーダの画風をモチーフにしたアニメーションが出てきたり、風景や衣装が色彩豊かで派手だったりで、ポップな印象が強い。さすがメキシカンな、ピリッとカラッとした感じ。序盤、フリーダがバスの事故で身体ガタガタになって、全身ギプスのときにベッドの上で絵を描き始め、その絵を当時既に名を成していた画家ディエゴリベラに才能を認められ、その直後ふたりは早速エッチして、恋人になって、ディエゴの浮気性を承知の上で結婚して…と駆け足で展開したあと、ディエゴの浮気に耐えながら、フリーダさんちょくちょく絵を描いてるんやけど、ディエゴの名声が大き過ぎて、無名の女の絵には当然スポットが当たらない。そのまま、ディエゴは仕事でアメリカに渡ることになって、フリーダもお供して行ってみると、共産主義者であるディエゴは、アートに思想を反映させすぎて、アメリカ社会から追放されてしまう。その後メキシコで、ソ連から亡命してきたトロツキー夫妻に会ったり、と、ストーリーに政治的なニュアンスも含みつつ、芸術や性愛のパッションに、政治理念・人種・性別なんて関係ない!ってのが、彼女の結婚や不倫を通して描かれる。この辺の展開は、不倫などに潔癖な人たちには一体どう受け止められるのだろう…と思いながら見てました。個人的には、フリーダが旦那さんに対して持ってる気持ちはかなり理解できる。基本、相手には自由にしておいてもらいたいけど、やっぱイヤなものはイヤやし、ヤくときゃヤくし、みたいな。けど、自分は自分の好きにヤリますよって言う。うんうん、オレ、性愛面では完全にフリーダタイプやわ笑 面白いのが、フリーダは事故の後遺症でずっと身体に苦痛を感じながら生きてて、その苦しみが絵画には表れてたりする一方で、生活してる間はそれを微塵も感じさせず、常に元気。だから見てるこっちは痛みのことを忘れてしまう。で、時々、あ、やっぱこの人、ずっと痛いんやって思い出すねんな。こういうのは女の強さやねー。カラッと強い。男はそんな感じになると、徐々に元気が失われて、不機嫌になっていくイメージあるもんね。映画全体として一点気になるとこは、こういう伝記映画に多いんやけど、何十年という長い人生から沢山のエピソードを数珠つなぎにしていくため、エモーションの大きなうねりが生まれにくく、映画全体がかなり長く感じられてしまうってとこ。本作もその傾向あり。けど、細々したエピソードの積み重ねがあるからこそ、最後のベッドシーンからは深い愛が感じられるし、その後の楽しいベッドシーンが高揚感たっぷりだったりもするんすよね、きっと。おわりに、素直に自分らしく生きるってホントに大切だなーと思った。人生において湧き上がるいろんな複雑な気持ちを、嘘やごまかしで塗り固めてやり過ごそうとしたとしたら、こんな深い愛には到達できないもんね。失敗してもいい、全部ぶつけて体当たりで生きていたい。そのためには強くなければ! そんな彼女の感じていた痛みが、絵画を通して、いまも世界の人々の心をとらえているのかもしれない。Love is pain and pain is art!
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