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紅夢のpのレビュー・感想・評価

紅夢(1991年製作の映画)
3.8
かつての女性の抑圧や閉塞感、だからこそ鋭く顕現する女性としての本能や存在意義。それを真っ赤なランタンが克明に映し出す。
見た目には静かで淡々、でも業火のような激しい情念の交錯。意地やプライドなんて軽いものではない。ランタンには自分の全存在がかかっている。

むき出しの人間。初鑑賞時はあまりの衝撃に、映像から来る世界観に、ただ圧倒され、かつての女性たちの無念さに思いを馳せた。
でも数年後、自分自身の状況も変わった今改めて見てみると、この世界が、まるで今の世界のように見えた。
あの家が「会社」みたいに思えて。
しきたり、規則、人間関係。表には社会貢献とか言うけれど、存続のための嘘やごまかし、従業員の負担過多、従業員同士のなすり合い、保身。会社と社員の共依存。
お金が貰えるし、評価されれば気分がいいかもしれないけど。人は人を肩書きで見てしまうものだけど。仕事ができる、そこに属している、だから何だというんだろう。
そこに依存せず、自分の生き方を手に入れるには、どうしたらいいんだろう。
考えてもわからないし、できる気もなんだかせず、いろんな気力が失われてくる。

「歌で自分を騙す」が印象的。
手立てがない場合、人生、いかに気を紛らわせるか。
陰鬱な気分にとらわれたら終わり、夢を見るしかなくなってしまう。
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