酔いどれ詩人になるまえにの作品情報・感想・評価 - 5ページ目

「酔いどれ詩人になるまえに」に投稿された感想・評価

のび

のびの感想・評価

3.7
映画『酔いどれ詩人になる前に』は、観る者を挑発する。お前は切実なものを抱えているか? それをしないではいられない何かを持っているか? それを失ったら、自分で自分を保つことができるか? そんな挑発が画面からあふれる一本だ。

この作品は、主人公のヘンリー・チナスキーが最低の生活を送りつつも、作家になるために小説を書き続ける日々を描く物語。チナスキーは酒と女にまみれ、仕事に就いてはすぐにクビになる。金に事欠く生活だ。

チナスキーはそんな最低な生活を送りながらも小説を書き続ける。狭い部屋の片隅で。カフェのテーブルで。「どん底でも、言葉はおれの中から沸き上がり、書き留めないと死よりひどいものに支配され」てしまうからだ。そのようなチナスキーの、どんな状況でも小説を書き続ける姿が観る者を挑発する。

「もし、何かにトライするのなら徹底的にやれ。でなきゃやるな」と。

そんなチナスキーの挑発が、観る者に不安に似た気分さえかき立てる。本作は、チナスキーほどに切実なものを持っていないかもしれないわたしたちに、そして世界に対して何の挑戦もしていないかもしれないわたしたちに、自分は本当にこれでいいのだろうか、このままでいいのだろうかと内省を迫る一本だ。
仕事クビ、酒、女、ひも生活、転職、競馬当てて金持ち、酒、女とけんか別れ、仕事クビ、失業保険生活、金持ち老人のとりまき暮らし、酒、遊び、女、老人死んだ、バイト、クビ、バイト代もらえず、バイト代要求、昔の女、酒、性病うつされた、競馬、けんか、酒、女…

初めから終わりまで、こんな自堕落な生活ぶりの主人公
チャールズ・ブコウスキーという詩人の自伝小説を映画化した作品

この人を知ってるのと、知らないのでは、きっと共感度が大違いなのだろう。私は文学には疎いし、こんな詩人は全く知らなかったので、なんだこのろくでなしは、という印象。けれど、こんな生活の中でも、物書きをしないではいられない主人公は、全く認められなくても自作を出版社に送り続ける。作品中、バックに流れる彼の詩、これがなかったらきっとこの作品は成り立たない。ラストにほんのわずかの光

作者を離れて一人歩きをはじめる詩の力の不思議
ノルウェーの映画監督ベント・ハーメルの作品は最新作の『1001グラム』に次いで2作品目の鑑賞
本当は『キッチン・ストーリー』から観たかったのですが
家の近くのゲオでは見つからず
(もしかしたらとんでもなく見当違いなジャンルの棚にあるのかもしれません←ゲオあるある)

『1001グラム』でも北欧つながりなのかアキ・カウリスマキの香りを感じましたが
本作も然り
むしろ
底辺の生活を送りつつもプライドの高い男
その男に惹かれる女
ロック
そしてオフビートな空気感…?
あれれ?これはもう…くらいの感じでしたが
決定的な違いはマット・ディロン演じる"自称"物書きチナスキーのナレーションという形で
彼の詩が要所要所で挿入されるという点
共通項は上記のように見出せれど
チナスキーの詩の持つ「温度」が
本作をカウリスマキ作品とは全くの別物たらしめています

詩の温度、すなわちエネルギー
それはたとえば『今を生きる』におけるホイットマンの詩のような力強さではないのですが
毎日酔っ払って、働けばすぐにクビになり部屋を追い出され
端から見ればしょうもない生活を送る彼が
唯一愚直に続けている執筆活動
その活動に対する静かだけれど頑なな情熱や信念が
詩の言葉の端々から湯気を発している感じ
もしこの詩のナレーションがなければ
チナスキーのことはただただ嫌いになっていたかもしれません
いやもうちょっと仕事頑張れよと
せめて住所不定はどうにかしろと
ほら、原稿を送っている出版社からの返事があっても
直で受け取れないでしょうと

本作はチャールズ・ブコウスキーの自伝的小説を映画化したとのことなので
このような生活を送りつつも最終的に成功したという
ブコウスキーの作品に触れてみたくなりました

フィルムの質感がチープで
それがまた良い
aya

ayaの感想・評価

-
記念すべき600本目がクズ男映画なんて。マットディロンは本当によか男だけど、物書きにしては書いてる時より仕事始めたときのほうが恍惚感が出てたので個人的には笑えた。一日何時間かだけはまあまあ仕事をやるのと好きな女の人にはまあまあやさしくするのでなかなか憎めない。ブコウスキーを読んでから観たらまた違ってたかな。クズ感と映像の埃がかったようなザラザラ感がよく合ってた。リリテイラーのおっぱいの形好き。
Fumie

Fumieの感想・評価

4.2
ブコウスキーの小説から。
「なぜ、俺が、この役なんだ?」って言うシーンがあるんだけど、
あなたしかいないわ!
ランブルフィッシュで観て以来。
ずっと、マットディロンにお付き合い。
といった感じで流れていきます。

私のfavoriteは、
ある夜帰ると、彼女が越してきていた。
決意して掃除してオカマになった気分なのに、「掃除した女はどこ!」と彼女が激怒。

あそこに包帯巻いてみたい!

よれよれのマットディロンですが、ずっと観てて分かったことは、痩せるとやっぱ、かっこいい!
YuukiImazu

YuukiImazuの感想・評価

3.7
これ前から観たかったんだよなぁ。大好きな作家、チャールズ・ブコウスキーの半自伝的小説「勝手に生きろ」の映画化作品。仕事が長続きしない自称作家・チナスキーの日常を淡々と描く。
まず、愛すべきロクデナシ・チナスキーを演じるM・ディロンがどハマり。ブコウスキーにそっくり。煙草を吸い、酒を嗜む姿が、めちゃくちゃカッコエエわ。

酒、女、競馬に費やすどうしようもない
日々を淡く暖かな映像で綴る。少しの笑いを交えながら。見るに堪えない生活ながら、どこか愛おしさを覚える、この不思議ね。

「言葉は大切なものでなく、必要なもの」、と語るチナスキーは“書くこと”をやめない。社会のレールから外れているとは言え、確固たる自分の道を何がなんでも歩んでいくチナスキー。彼の熱いスピリットには感嘆させられ、「何かに挑戦するなら徹底的にやれ。」、ってなメッセージも力強く響くね。ブコウスキーはカッコ良いな。
RYUYA

RYUYAの感想・評価

4.5
配達先で飲んだくれてクビになっても、
飲み屋で会ったビッチのヒモになっても、
便座に座っただけで性病もらってアソコがパンパンになっても、
卑猥な冗談を連発して実家を追い出されても、
女にカッコつけるために弱そうな奴を嫌々ボコボコにしても、
日雇い紹介所のロビーでホームレスと飲んだくれても、
泥酔で18回逮捕される過去を持ってても、、、
自称‘‘作家”のヘンリー・チナスキーは、それでも毎日詩を書き続ける。

だから俺も、
大学四年目なのに単位がビックリするくらい取れてなくても、
就活用の靴すら買ってなくても、
勢いで行った初ピンサロでもろにクラミジアもらった過去があっても、、、
それでも映画を見続けたい。

『アウトサイダー』で、あんなにもキラキラしていたマット・ディロンが演じる超ド級のボンクラ野郎が最高。

今後、生き方レベルで影響を受けそうな
お宝映画に出会いました、、、
影響受けたらおれおわりね、以上。
こんなに温かくてクズ男のあるあるを包み込んでくれる映画は初めて。オールタイムベストのトップ10にもいれたいぐらいに好き。
チャールズ・ブコウスキーからしてファンなので。
ms

msの感想・評価

3.5
ベント・ハーメルの良さが凝縮されてる。
画面のトーンが気持ちいい。
作家チャールズ・ブコウスキーの作家修行時代の自叙伝小説の映画化。


この作家をこの映画で知りました。
酒、女、煙草、競馬。
突き抜けるクズっぷり。

しかし、
"言葉は大切ではなく必要"と語る彼の生き様と表現者魂には惚れる。

どんなにろくでなしな生活をしていようとも、
物書きは止めず前へ突き進む。

いやしかし、
結果成功してるから良いものの
真似るとなると…とその決断も含めて才能なんだろうな。

映画としては終始何も起こらないです。