八木

エイリアン2の八木のレビュー・感想・評価

エイリアン2(1986年製作の映画)
4.4
最新作に向けて予習。最高。
前作とは何もかも違った上で、確かに「エイリアン」の続編として成立している。面白い2作を成立させているから「謎の生物(ゆくゆくエイリアンと呼称するやつ)」さえ出ていれば「エイリアン」になるという説得力を持つのだなあと感嘆します。
前作が密室モンスターホラー映画だったのに対して、今作はSFミリタリーアクションホラー映画になっておりまして、ジャンルは根っこから違います。しかし、一応「謎の生物の戦闘力を前に人間どもは太刀打ちできず」という部分や、シガニーさんが顔を出したりコールドスリープ時はちゃんとパンツを見せてくれたりと、欲しがってる部分は抑えて、シリーズとしてのつながり方にまったく違和感がありませんでした。「怖い」「嫌だ」「臭そう」という部分が前作と同じつくりになっているのに、ぶっ殺す爽快感やチーム感が強くなっていて、まさにアップデートという感じでまったく否定する気は起こりません。数年でCG力もアップしており、『いろいろあって宇宙に飛んで到着しました』という省略部にもきっちり説得力が増しています。
別に映画だけでなく、実際においても「知っているのは俺だけ」っていう状態から、周囲を納得させることや、初めから排除されてしまう面倒くささってあると思います。その面倒くささが深いほど、この映画で言えば仲間が何人か無残に死ぬことで、リプリーが見たモンスターの実在を体感させるという「口で言ってわからねえなら体に聞いてやるよ」的カタルシスってありますね。僕、ジェームズ・キャメロンの映画何本か見てて、ビッグタイトルだし、作家性とかあんまりわかってないんですよ。でも、やっぱりぐっと鬱陶しいくらい抑え込まれたあとに開放する全体の緩急のつけ方に才能というかプロ映画マンのたくましさを感じます。家で見る150分くらいの映画なのに、飽きさせないんですよ。
で、まあ親子要素とかは正直どうでもいいし、好みで言えば1作目なんですけど、頑張って文句を言う映画じゃないです。こんだけジャンル映画くさいクラシックなシリーズなのに、1,2作がハイレベルなのってすごいと思いました。3も楽しみ。
八木

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