No.2612
【生+性=春の病】
切ない映画が好物の私には傑作でした。
まさにSPRING FEVER、春先に引く風邪のような、なんだか物憂い感じが全編を包んでいます。
それに、「ほんとは撮影しちゃいけないから、こっそり家庭用ビデオカメラ」で撮った、という緊迫感が、その画質の粗さとともに、不思議な淫靡さをもたらしています。
この映画は、「ゲリラ撮影」という「手法」ありきでこのテーマにしたのか、
それとも、このテーマの映画を撮ることは決まっていたけれども、映画製作禁止処分中だったから、やむなくゲリラ撮影したのか、どっちなんだろう。
カラオケのシーンは、ちょっとほろ苦い恋愛体験や、切ない別れなどを経験した人には、けっこう沁みるシーンじゃないでしょうか。僕は沁みました(笑)。
ただ男女3人が暗い顔してカラオケしてるだけのシーンのはずが、それまでの長い物語の、複雑な感情の積み重ねの先にあるおかげで、
もう、とても言語化できないようなニュアンスのシーンになるわけです。
そういう「言語化も、文字化も難しいようなシーン」を見て、何かを感じようとする、それが映画の醍醐味なのではないでしょうか。
5/60 https://www.uplink.co.jp/cloud/features/2311/