シリーズ48作+特別編1作完走。圧倒的な充実感とそこはかとない寂寥感。
(評論>作品)な偏狭なシネフィルどもは観ないでバカにするのだろうな。
だが、これほど多くの人に愛され、長年に渡って支持された作品があっただろうか。
「映画的」でない?
いいんだよ、そんなこたぁ、どうでも。
自分のエモーションを他人の評論で答え合わせしてんじゃねぇぞ、蓮實信者。
このシリーズには、人情噺・啖呵売・"寅のアリア"と呼ばれる渥美清の語りの芸等の大衆芸能、農村・漁村・田園・祭等今では失われてしまったものも多い日本の風景、町を流れる流行歌・寅次郎が売るいかにも怪しげな商品に見られる、昭和・平成に跨がる26年間の風俗の変遷、これらの貴重な記録がある。
そして寅次郎が見せるダンディズムのカッコよさとその内に潜む情けなさ(これについては48作目『寅次郎紅の花』において寅次郎がリリーによって見事に喝破されている)。
49作全てが傑作という訳にはいかないだろう。
しかし、倍賞千恵子さんが「渥美清さんとお別れする会」でこう言っていた。
お兄ちゃんはいつもインタビューの時に、「俺は長い長い一本の映画を何十年かけて撮ってるんだよ」って言ってるのを聞いて…。私もよく聞かれたのよね、「飽きませんか」とか。
…そういう時は「俺は長い長い一本の映画を何十年もかけて撮ってるんです。…お兄ちゃんはそう言ってました。私もそう思っています」
(以下略)
よってスコアはシリーズ全体に対してのもの。
山田洋次監督及びスタッフの方々、渥美清さん、倍賞千恵子さん初めレギュラーキャスト及びゲストの方々に最大限の賛辞を!
そして、『男はつらいよ』の新作が公開される度に劇場に駆けつけた寅さんファンに感謝を!皆さんのお陰で、この長い物語が作られました。
追伸:この"男はつらいよマラソン"の期間中、第50作の制作が発表された。
旅はまだ終わらない。