ネクタイを使って女性を絞殺する殺人鬼の出没するロンドン。
テムズ川とロンドン橋、コヴェント・ガーデン市場の辺りが舞台。築地に市場があった頃の隅田川と勝鬨橋のようなところ。
初めは誰が殺人鬼なのか?という興味を持たせてるが、途中で犯人がバレてどのように捕まるかに興味が移る構成。
ヒッチコックのサディスティックな趣味が色濃く出ている作品。
絞め殺された人間は舌が迫り出し瞳孔が散大する辺りを忠実に描き死体の扱いに念が入っている。
市場のトラックに積まれたジャガイモを詰めた袋の中に全裸の女の死体を入れる。
イモに付いている土が死体にも塗されて死体が粉を吹いているようになる。
犯人が袋の中から死体を見つけ出す時にイモがゴロゴロゴロゴロとトラックの荷台の床に溢れる音がなんとも不気味に響く。
サイコの昔から死体について拘りがあったヒッチコックの性癖が監督の創作活動後期に来て突出している。