しぇんみん

X-MEN:ファースト・ジェネレーションのしぇんみんのレビュー・感想・評価

4.8
X-MEN の起源。

能力者たちの選択。

1944年_

ナチス・ドイツ強制収容所に収監されたユダヤ人少年、エリック・レンシャー。

彼は家族を奪われた怒りと悲しみから、金属を自由に操る特殊能力に目覚める。

ニューヨークの裕福な家庭に育つ少年チャールズ・エグゼビア。

強力なテレパスである彼は、屋敷に忍び込んだ少女レイヴン・ダークホルムの変身能力を見抜き、家族として受け入れる。

1962年_

エリックは、母親の命を奪ったシュミットの消息を追い続けている。

チャールズは、イギリスでレイブンと暮らし、オックスフォード大学でミュータントに関する研究をしている。

一方、ラスベガスでは、CIAのモイラ・マクダガートたちがセバスチャン・ショウを中心とした「ヘルファイアクラブ」の活動を察知する。

後に「ミュータント」と呼ばれる能力者たちの存在が明らかになり、その存在の意味と意義を問う戦いが繰り広げられることとなる...。

今までシリーズ全作品を見てきたが、中でも珠玉の名作となっていると思う。

「差別問題への提言」というテーマは変わらず、ミュータントの起源と「X-MEN」設立までの秘話、そして初代X-MENの活躍を描いた内容は、キューバ危機という実際の国際問題とも適度に絡み合い、物語に現実感と深みを感じさせている。

登場人物たちの背景描写も細かく描かれており、単なる人物紹介に終わらず、各キャラクターの個性と能力が理解し易い演出となっている。

また、明確に善悪を描かないX-MENシリーズには珍しく、今回はセバスチャン・ショウという、能力も存在も強大な悪役を配している。

そして、ラストでエリックがショウと対決することにより、後の時代の彼「マグニートー」が、単なる悪ではないと印象付けるのに役立っている。

チャールズ(=プロフェッサーX)とエリック(=マグニートー)は袂を分かつこととなるが、どちらが正しいと感じるか、観客それぞれ異なるだろう。

まさにX-MENシリーズの起源となり得る作品だと思う。

ハナマル!

2016/07/15
2019/02/15 一部修正
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