「彼は『どん底』に殺されたんだ…」
作中のある登場人物のこのセリフが頭から離れない。
タイトル通り、社会の「どん底」の木賃宿で暮らす人々の生きざまを描いた作品。
あの「ニュー・シネマ・パラダイス」にも出てくる今作だが、タイトルから暗い話を想像していたが、思ったより暗くなかった。
ユーモアも混ぜつつ、だけど真剣なところはとても真剣に描かれていて観やすかった。
落ちぶれた男爵や金持ちが出てきて、木賃宿の人々との対比があってよかった。
流れるようなカメラワークはとても美しくて、特に金持ちたちの場面ではよく映えていた。
楽観的な部分と現実的な部分の割合がちょうど良く、描かれている様々な立場の人がいてメッセージ性を感じやすかった気がする。