Qちゃん

どん底のQちゃんのレビュー・感想・評価

どん底(1936年製作の映画)
3.5
『どん底』はマクシム・ゴーリキーの戯曲を映画化したもので、後年、黒澤明監督も映画化している。今回観たのは、ジャン・ルノワール監督版。

この映画、タイトルからも黒澤明監督作品からも「どん底の人々を描いた映画か…」と思ってしまい、なかなか観ていなかったが、ジャン・ルノワール版は男爵の華やかな生活も描いたり、恋愛ドラマを描いたりしているので、「底辺一辺倒の暗い映画ではなかった」のが良かったと思う。

コソ泥のペペル(ジャン・ギャバン)が男爵(ルイ・ジューヴェ)の豪邸に盗みに入ったが、二人の友情物語になっていくあたりは観ていて楽しい。
また、ペペルとナターシャとの恋愛ドラマも、やはり楽しい。

学生時代に映画館で観た黒澤明監督の『どん底』は観ていて全然楽しくなくて、「なぜ、こんなに汚くて底辺の生活をしている人達ばかりの『絶望風景』を描くのだろう?」と思ったものだが、このジャン・ルノワールは『希望』を描いている。
ゴーリキーの原作がどちらに沿ったものだかは未読なので知らないが、やはり希望的映画の方が観ていて楽しい。

ただ、今回ジャン・ルノワール版を観てみて、「黒澤明監督版もまた観直してみようかなぁ」という気持ちになった。