たむランボー怒りの脱出

美しき諍い女(いさかいめ)のたむランボー怒りの脱出のレビュー・感想・評価

2.0
登場人物の会話シーンの終わりにきまって人物が視線を移動させる(その多くが互いの顔を見ようとしてすぐに目をそらす)芝居をつけているのだが、これがアトリエにおけるミシェル・ピコリ(画家)とエマニュエル・ベアール(モデル)それぞれの視線の力強さというか真っ直ぐさとの対比になっている。

ミシェル・ピコリが絵を描き始めると面白くなる。白い紙に線や色が足されていく過程、その音の緊張感が心地よいのでずっと聴いていたい。あと、椅子のきしむ音をちゃんと聴かせてることにリアリティを感じた。人が立ち上がる瞬間、座る瞬間にそれぞれ鳴る音、「実在感」のようなもの。
ただ正直、ミシェル・ピコリをめぐる周囲の人間のあれこれについては面白いと思わなかった。ロメールくらい具体的な人間関係を、とは言わないにしても、リヴェットの抽象的な感じにどうも入り込めない。