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友だちのうちはどこ?のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
4.4
間違えて持ってきてしまった友だちのノートを隣村まで返しに行く話。

あーよかった。
最初からそうすればよかったのに。
でも、ひとりで頑張ったね。
心細かっただろうに。
おじいさんの好意を無にしない優しさもよかった。

お父さんお母さんは怒らず心配して待っていたんだね。洗濯も取り込まず、お父さんのラジオは地域放送受信のためか新しいみたいだった。

評価が高いのがわかる。

まず、少年の表情と演技に尽きる。一般人の自然な演技。そして健脚!

陰影が美しい。夕方、飾り窓から洩れる灯り。谷あいの村の家の土塀の陰影。林の中。イランの村の素朴な美しさ。

谷を下り上り、村の坂、急階段がずっと続いている。大林宣彦監督が尾道にこだわったように、ただ移動しているだけでも坂と階段は画に変化が表れる。

教育的映画だとは思わないが、子供にとって教師、親、年上の人の言うことは絶対であり、破ると体罰等の厳しい罰があることが繰り返し伝えられていた。村らしく封建的である。

一方、木製の扉や美しい飾り窓は鉄製の扉やガラス窓にいずれとって変わっていく。美しいが隙間風が入り、壊れ不便であるから。

谷も坂も階段も不便である。
電話さえあれば事足りることだった。
年寄りもあの谷の坂と階段を上り下りしないとならない。

町へ若者が出て行ってしまい、老人と子供しか出てこなかった。

鉄製扉は一生ものというが、木製扉は開放的だ。少年は木製扉だから覗けて、開けられた。訪ね歩くことができた。暮らしの中にも近代化がいずれ迫ってくるだろう。いずれ少年も隣村よりもっと先まで何かを探しに行くことになるだろう。
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