イランの田舎町に暮らす小学生の男の子は、学校から帰宅し宿題をしようとしたところ友達のノートを誤って持って来てしまった事に気がついた。
明日までにこのノートに宿題をしないと友達は学校を退学になってしまう。コレは一大事とばかり彼は遠く離れた行ったことのない友達の家を探して届ける事にした。
なんとなく目元が悲しげなその男の子は、舗装された道など無い起伏が激しいイランの田舎道を、道中で出会う人達に道を尋ねながら懸命に友達の家を探すのだった。
キアロスタミ監督の『トラベラー』(1974)でもそうだが彼の作品に登場するイランの子供達のバイタリティが凄い。彼の国の子供達はなんで皆んなこんなに心が強いのだろうかと思う。日が暮れるまで手掛かりを探して懸命に走り廻る姿に感動する。元々悲しげな目元に一層悲しみと疲労感を浮かばせては来るが決して涙を見せないし、誰かに助けを求めたりもしない。自分のせいで友達が不幸な目に会う事を懸命に食い止めようとする少年の健気な責任感。彼の小さな身体を思わず抱きしめてやりたくなる。
ギリギリの所でハッピーエンドにする話の持って行き方にも感心した。
