ぜろ

映画ドラえもん のび太の恐竜2006のぜろのレビュー・感想・評価

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『のび太の恐竜』を新旧並べて見返すと、前半と後半で一回ずつあるピー助を送り返す場面が2006年版はかなりエモーショナルに演出されているのが面白かった。大長編最初期の「泣き」の作画は涙がひとつ描き足されるだけだけど、2006年はタイムトンネルの中を涙が飛び散る。

ただこの「泣ける」路線はキャスト交代を境にした変化というわけではなくて、2000年代に入ったあたりの芝山監督版からと個人的には記憶してる 『ふしぎ風使い』(2002)ではのび太の涙も画面いっぱいに飛び散っていた

2006年版『恐竜』で一番の改変箇所は最後に本当にほぼ徒歩で北米から日本まで戻り、それが勇気友情で「泣ける」演出とされていた部分で、この種の苦労が美徳とされるのはキャスト交代後の特徴かもしれない。
旧シリーズはこうして進んで苦労することを美徳とするような展開は無かったような記憶 友情勇気が苦労とイコールでは結ばれないというか

『創生日記』では、南極を目指す飛行船にくっついて一緒に移動しようとするも、「飛行船ってなんてじれったい乗り物なんだろ!」と言ってゴーゴー風車でブーストをかけたりしている 道具でスキップできる苦労はスキップするスタイルだと思うんだけどな

旧版の大長編はわりと道具を使ってことをサクッと解決することが多くて(『創生日記』で最終的に地球をもう一つコピーするとか)、この即物的なハッピーエンドはちょっと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)を思い出す
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