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マニアックのhorahukiのレビュー・感想・評価

マニアック(1980年製作の映画)
3.4
気持ち悪い太ったおっさんが「ウーウー」言いながら、気になった女性やカップルをぶっ殺して頭皮を剥いで行くスラッシャー。

あらすじ…
母親からの虐待が原因でマネキン大好きになっちゃった主人公のおっさん。街で女やカップルを見つけては、追いかけてぶっ殺し頭皮を剥いでマネキンに釘で打ち付けていた。ある日、写真家の女性に一目惚れして、お近づきになろうとするが…。

イライジャウッド主演でリメイクされた同名作のオリジナル(リメイクは未見)。本作の主人公は、イライジャくんとは比べものにならないくらい見た目のインパクトが凄い!殺しの際に長時間ドアップで正面から表情を捉えるシーンがあるのですが、本当に殺しをしてるのではないかと思われるような鬼気迫る表情をしていて、そういう面ではとてもリアル。

殺人鬼目線で物語が語られるので、残虐ではありますが同時に出口のない地獄にいるような息苦しさと遣る瀬無さが作品全体を通して漂っており、他のスラッシャーとは違った物悲しいものとなっています。

主人公は、母親から虐待された心の傷を引きずりつつも、一方では母親への執着を捨てきれず、部屋に無数の蝋燭を灯し仰々しく母親の遺影を飾っている。マザコンという言葉だけでは片付けられない異様な精神状態。そして血を額から垂らした大量のマネキンがいたるところに鎮座している。観客の理解を拒むかのような異質で嫌悪感を感じさせる部屋が主人公の心の中の深淵を象徴している。

そんで恐怖シーンの演出がうまい。本作が見せるのは殺人鬼から逃げ切った後に残る恐怖。隠れて殺人鬼をうまくやり過ごしたと思って安堵した後が一番怖い。隠れてる場所から外に出ていかないといけないわけですからね。「もう行った?居ないよね?」っていう緊張感を丁寧に演出してる。ここはマジで怖かった!

本作もトムサヴィー二が関与してるのでグロ描写も力が入っていて、中でもショットガンで頭をぶっ飛ばすシーンは見ものです。しかも撃たれる側をトムサヴィー二本人が演じてるという話が何だか笑える(笑)終始暗くて病的な気持ち悪さがあるので見てて楽しい作品ではないですが、私的には面白かったです♫
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