R

BOY AのRのレビュー・感想・評価

BOY A(2007年製作の映画)
4.1
なるほど! アンドリューガーフィールドってこんな可愛い系の男の子やったんや! 沈黙とソーシャルネットワークでしか見たことなかったから、変な顔の俳優やなぁと思ってたけど笑 童顔でキュートな彼が、殺人罪での服役を終了し、社会に戻って来たBOY A=エリックを演じてる。彼は10歳前後の時から刑務所で14年間過ごしてきたため、大きな不安や戸惑いを胸に出所する。熱心に社会復帰の援助をしてくれるソーシャルワーカー、テリーの助言で、ジャックと改名し、アイデンティティを隠して仕事を得、徐々に生活に慣れ、親しい友だちもできて、同僚の女ミシェルとは恋愛関係にさえなれた。過去のことは過去の事として、新しい人生を歩もうとするのだが、どうしてもミシェルを騙している意識を拭うことができず、苦悩する。いっそ打ち明けようかとテリーに相談すると、誰一人として絶対に漏らしてはダメだ、忌まわしい事件の犯人が釈放になったことを知って、怒りに燃えてる人がこの社会にはたくさんいるんだ!と。一体ジャックは、これからどうなっていくのか、問題を抱えながらも、ちゃんと社会復帰できるのだろうか? って話を、すごく内省的で瑞々しい映像で描いていく。登場人物たちの細かい表情の変化などをしっかりとらえて、豊かなディテールの積み重ねで、明確に心情を伝えてくるカメラの雄弁さがたいへんステキ。この映画は、見る人の価値観も評価にかなり影響するだろうテーマを内包してて、他人の犯した大罪を我々はどう消化するべきか、そもそも消化できるのか、また、人間の本質は善であるか、悪であるか、どちらでもないとするか、どちらもあるとするか、そして、悪を成した人間が善に変化することができるのか、そういう人間にチャンスは与えられるべきか、など、自分はどう考えているのか、どう考えれば良いのか、と思わず自身に問わずにはいられない作品になっている。それを声高に主張するのでなく、自然に考えさせる巧みなドラマ展開が見事。話は後半どんどんヘビーな展開になり、まったく何とも言い難い悲しみのエンディングを迎えるのだが、直前、一瞬、えっ!てなる夢のようなシーンがあり、その演出はものすごい余韻となって、いまも刺さった棘みたいに心に残ってる。ほんのちょっとだけ気になったのは、アンドリューガーフィールドの演技も含め、若干後半しんみりしすぎかなーどーかなーーってとこ。それにしてもミシェルね、うーん、ミシェルさん…。まったく理解できないというわけではないが、あなたの気持ちは何やってん。てなるね。こういうことはよく起こるよね。何やってん。マジで。何もかも簡単に済むはずはないのであるが、こういうの、オレ、無理。
R

R