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天空の燃えつきる日のhorahukiのレビュー・感想・評価

天空の燃えつきる日(1961年製作の映画)
3.5
自分たちの蒔いた種だ!!

月面着陸に向けて飛び立ったロケットにイレギュラーが発生したんでノコノコ帰ってきたは良いけれど、原子力モーターをうっかり宇宙に置き忘れてしまったせいで隕石が地球に向かって飛んできちゃうSFパニック映画。

クレジットはされてないけど、IMDbによればマリオバーヴァが監督として参加しているようなので見てみました。バーヴァっぽい演出は特に見られませんでしたが、スマートに纏められていて面白い作品でした。私は見たことないけどショーンコネリー主演の『メテオ』という映画のオリジナルだそうです。

人類の行き過ぎた発展に対する警鐘という当時流行ったテーマの元に本作も製作されていました。越えてはならない境界を越えてしまった人類に対する宇宙からの回答として隕石を描き、宇宙開発競争を背景に、共通の目的のもとに世界が団結する必要性を米ソ双方が軍事機密として保有する重要な情報を開示し合うということをもって表現している。

そしてそれは未来における保有の解除ということにも繋がり、宇宙とか目指す余裕あるんならまず地球内部を何とかしようぜ!ってな感じのテーマを匂わせていました。

顔のドアップをカウントダウンとともに次々に切り替えていくとことか、警告音を被せて空を見渡すカメラとか、光をバックにした籠城戦とか結構好きでした。恐らくかなりの低予算で製作されたのだろうと思うのですが、(多分)どっかからパクってきただろうドキュメント的な映像を盛り込むことで、最低限の撮影シーンだけで地球規模のパニック映画として成立させてしまうとこも良かった。

恐らくどっかの建物の前のかなり狭い空間で撮影してるだけだと思うのですが、大急ぎで逃げ出す人々が雪崩のようにグチャグチャになって嵐のように過ぎ去っていくシーンや、揉みくちゃになり倒され取り残される人々、そして暴動への発展までを余計なものを削ぎ落としてスムーズに見せる映像も的確で良かった。

そして何よりの見どころはクライマックスの超ド派手なミサイルの雨。パニック映画とはいえ低予算だから派手さは何も期待してなかったのですが、土下座して謝らないといけないくらいのモノクロだからこそなカッコ良すぎる映像に感動しちゃいました。ヒューマンドラマは控えめに、地球に落ちてくる隕石を純粋に恐怖の対象として描き、人類の団結の必要性を指摘する本作は、評価低いみたいだけど面白い作品だと思いました。
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